1. はじめに:営業許可を取ったら、次は「食品表示」
お菓子を販売するうえで欠かせないのが「食品表示」。
そのルールは主に「食品表示法」で定められていて、正しく表示しなければ法令違反になってしまいます。
今回は、菓子販売にスポットを当てて、基本の表示項目を整理して紹介します。
2. 食品表示の基本項目
菓子を販売する際に必要な表示は、次の8つです。
- 名称
- 原材料名
- アレルゲン表示
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 製造者(または販売者)
- 栄養成分表示
それぞれのポイントを簡単に見ていきましょう。
3. 名称:どんな菓子かを伝える
「クッキー」「マドレーヌ」「チョコレート」など、一般的に分かりやすい名前を表示します。
「生菓子」「焼菓子」「和菓子」「洋菓子」といった分類名でもOKです。
4. 原材料名:食品表示の最大の山場
原材料欄の書き方は複雑で、多くの人がつまずくポイントです。
まずは原則を押さえましょう。
- 原材料(添加物以外)
使った量が多い順に並べます。最も多い原材料には「原料原産地の表示」も必要です。
また、複数の原材料で構成された加工食品を「複合原材料」と呼び、つぶあん(小豆、チ砂糖、・・)のように、カッコの中に構成する原材料を重量順に記載するのが原則。
ただし、省略可能な場合もあります。 - 添加物
基本は「物質名」で表示(例:炭酸水素ナトリウム)。ただし一般的に知られている名称(例:重曹)が認められる場合もあります。
その他に、用途名を併記する必要がある添加物(例:甘味料(サッカリンナトリウム))や、一括名(例:香料、膨張剤)が認められる添加物などもあります。
5. アレルゲン表示:命に関わる重要情報
アレルゲンは「個別表示」または「一括表示」で記載します。
表示が必要なアレルゲンは以下の通り。
- 義務表示(特定原材料8品目)
卵、乳、小麦、えび、かに、くるみ、そば、落花生 - 推奨表示(特定原材料に準ずる20品目)
アーモンド、いか、いくら、オレンジ、牛肉、大豆、りんご…など20品目
アレルゲン漏れは消費者の健康被害につながる重大な過失です。
さらに、共通設備を使う場合は「◯◯を使用した設備で製造しています」と注意喚起を添えることも必要です。
6. 内容量:わかりやすく表示
「5個入り」「100g」など、グラム数や個数を明記します。
菓子の種類によっては、計量法に基づく質量表示が必要となるので注意しましょう。
7. 賞味期限または消費期限
- 賞味期限:比較的日持ちするもの(例:クッキー)
- 消費期限:傷みやすいもの(例:ケーキ)
表示は「2025年12月31日」や「25.12.31」など年月日の順で。
和暦(令和◯年)でも可ですが、西暦表記が一般的で分かりやすいです。
8. 保存方法:未開封時の条件を記載
「直射日光を避けて常温保存」「要冷蔵(10℃以下)」などを明記。
ここに書くのはあくまで未開封の場合です。
「開封後はお早めにお召し上がりください」などは、一括表示外に記載します。
9. 製造者(または販売者)
製造者の名称と住所を表示します。
法人は法人名(例:株式会社◯◯)、個人は氏名を記載。
委託製造の場合は「販売者+製造所固有記号」で示すことも可能です。
10. 栄養成分表示:原則必須
表示項目は次の5つ。
- エネルギー
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 食塩相当量
小規模事業者や直売など一部は免除対象になりますが、原則は必須です。
11. よくあるつまづきポイント
- 複合原材料の書き方
- 添加物の表示方法
- アレルゲン表示のルール
特に原材料欄は多くの人が悩む部分です。今後の記事で、これらを具体例とともに詳しく解説していきます。
12. まとめ:許可と表示がそろって、はじめて販売できる
営業許可だけでは販売はできません。
食品表示を整えて、初めてお客様に安心して商品を届けることができます。
正しい知識を身につけて、信頼される菓子販売を目指しましょう!



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