「新鮮なら安全」…それ、本当ですか?

新鮮な鶏刺しだったら大丈夫だよね?

食中毒は、新鮮なら起こらないとは言えないんですよ
「新鮮な鶏刺しだから大丈夫!」
そう言われて、安心して食べたことはありませんか?
実は、新鮮だからこそ危険な場合があるのです。
その原因となるのが、カンピロバクターという食中毒菌。
今回は、鶏肉と関係が深いこの菌の特徴と、見落としがちなリスク、そして私たちができる予防策についてお話しします。
カンピロバクターの発生状況と原因食品

カンピロバクターは細菌性食中毒の中で、最も発生件数が多いんですよ

へえ…意外!毎年200〜300件も発生しているんだね
カンピロバクターの原因食品に目を向けてみると、どうでしょうか。
豚肉や牛肉、そして特に多いのが「鶏肉」です。
鶏肉は、日本で最も消費されている食肉。ヘルシーで安価、レシピも豊富と人気ですが、その一方で、生や加熱不足の調理法による感染が多いのが現実です。
どこからやってくるの?意外な汚染のルート

そもそも鶏肉のどこに菌がいるの?

動物の腸管内に生息しているんですよ
鶏を食肉に加工するとき「中抜き」という工程があります。
機械で内臓を取り除くのですが、腸管に傷がつくと菌が飛散し胸肉やもも肉などに付着してしまうのです。この汚染を完全に防ぐことは難しいと言われています。

他にもこんな汚染ルートがありますよ
- 調理器具や手指を介して他の食品を汚染する二次汚染
- 動物のフンや死骸によって沢水や井戸水が汚染

きれいな沢水はつい飲みたくなるけど、危ないことなんだね
カンピロバクターにまつわるパラドックス

食中毒菌って時間が経つほど増えるんじゃないの?

その通りですが、カンピロバクターはちょっと違います
この菌は「微好気性菌」といって、酸素が少しだけある場所で生きやすいという性質を持っていて、空気にさらされた環境では徐々に死んでしまいます。つまり、加工されたばかりの新鮮な鶏肉ほど、菌がまだ生きている可能性が高いのです。
よく「朝引きの鶏刺しは新鮮で安全」なんて言われることもありますが、実は逆。
新鮮=リスクが高い、というパラドックスがここにあるのです。
下痢だけじゃない。ギラン・バレー症候群との関係
カンピロバクターに感染すると、腹痛や下痢、発熱などの症状が出ます。
しかし、それだけではありません。
まれに、ギラン・バレー症候群という神経障害を引き起こすこともあります。
これは、手足のしびれや筋力の低下が起こる病気で、長期的な後遺症に悩まされる方も。
一時的な体調不良で済めばまだ良いですが、人生を変えるほどの影響が出る可能性があるのです。
危ないメニューはこれ!
鶏刺し(生食用の鶏肉)
「新鮮だから安心」という思い込みは禁物。
確かに、宮崎県や鹿児島県などでは厳しい基準のもとで生食用として流通しているものもあります。
ただし、家庭で調理するのは非常に危険ですし、免疫の低い方(子どもや高齢者)は特に避けるべきです。
バーベキュー
カンピロバクターによる食中毒は、GWや夏のアウトドアシーズンに発生することも多いです。

バーベキューって楽しいから好きだけど、危ないの?

バーベキューは家で当たり前にやっている衛生管理がおろそかになりがちです
- 焼きが甘くて加熱不足
- 生肉から出たドリップが他の食品を汚染
- お酒で気が緩み、手洗いや器具の管理が雑になる
…など、リスク満載。楽しいイベントが一転、大惨事になることも。
低温調理(例:鶏ハム)
最近は「低温調理」も人気ですが、注意が必要です。
インターネットのレシピに従って調理しても、鍋のサイズや室温で実際の温度条件は変わります。
安全な温度に達していなければ、中心部に菌が残っている可能性があります。
潜伏期間が長い=原因がわからない!
カンピロバクターのもう一つの特徴は、潜伏期間が2〜7日と長いこと。

1週間前に何を食べたか、覚えていますか?

昨日の食事も覚えていません・・・!
発症までの時間が長くかかることから、原因食品が突き止められないこともあります。
体調不良の原因が「まさか、あの鶏刺しだったなんて…」ということも。
今すぐできる!カンピロバクターの予防策
- 肉類はしっかり中心部まで加熱!(75℃以上1分以上が目安)
- 生肉のドリップで他の食品が汚染されないようにする
- 調理器具や手はこまめに洗浄・消毒
- 調理器具は用途別に使い分ける
- 低温調理や鶏刺しなどのリスク高めな食品に要注意
おわりに
鶏肉を日常的に食べる私たちにとって、カンピロバクターによる食中毒とは隣り合わせ。カンピロバクターの特性を知って正しい予防を心がけ、健康な毎日を送りましょう!
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